全国大会記録
第五十回となる解釈学会全国大会が、八月二十六日(日)と二十七日(月)の二日間にかけて、群馬大学荒牧キャンパスで開催された。全国から約90名の研究者が集った。
一日目は、二会場に分かれての研究発表会、午後からは講演会が行われた。研究発表では、文学・国語学・国語教育などの各分野から発表が行われた。いずれも活発な質疑応答がなされ、刺戟に満ちた研究成果発表の場となった。
今年は『赤い鳥』創刊100周年の佳節であったため、午後からはそれを記念した三名のパネリストによる公開シンポジウムが行われた。仁平道明先生(解釈学会会長・東北大学名誉教授)は、『赤い鳥』の成立と展開について詳細な記録をもとに説明してくださった。『赤い鳥』は、それまで体系立っていなかった童謡を整理することで「伝統」として位置付けると同時に、創作することで「新しさ」をも見せるものであったという。また、『赤い鳥』は児童文芸書であるが、それを読んでいた子どもだけでなく、買い与えていた「大人」も、「赤い鳥」を支えた存在ではなかったかと提言されていた。河内昭浩先生(群馬大学准教授)は、群馬出身の石原和三郎と井上武士を取り上げ、彼らの業績と群馬との関わりについて論じてくださった。作曲家として知られる井上武士が、作詞活動も行っていたこと、また、石原和三郎作詞の作品と言文一致唱歌との関連性など、今後の研究の可能性が多く示されていた。織江りょう先生(童謡詩人・日本童謡協会常任理事)は、散文家・韻文家としての二方面からの新美南吉について、ご自身の経験と重ね合わせながらお話くださった。内に向かっていく韻文の世界と外界に向かっていく散文の世界を同じように創作していくことは困難であるという。新美南吉にそれができたのは、生きることの悲しさを肯定していたからではないかと言う。現実世界に生きることは悲しさを伴うが、それを受け入れることによって両者を明確に区別し創作ができていたのだと考察されていた。三名の先生方の熱気溢れるお話に、会場からも多くの質問が出され、活発なシンポジウムとなった。
研究発表と講演会の後には懇親会が開かれ、日頃の研究の様子を話し合ったり、再会の喜びを分かち合ったりと、穏やかな時間を
過ごすことができた。二日目は、実地踏査が行われた。「童謡ふるさと館」や「群馬県立土屋文明記念文学館」など、文学とゆかりの深い群馬だが、国指定の重要文化財の埴輪を多く有しているということもあり、現在では埴輪をモチーフとした観光事業も多く展開されている。土屋文明記念文化館も、はにわの里公園の中にあり、歴史と文化の両方に触れることができる。
研究の最前線を知り、文学や歴史の場を訪れることのできるこの機会を糧とし、これからも研究に励んでいきたいと考えている。
(やまもと・みき/創価大学)